世界的なスーパースターで天才ゴルファーである「タイガー・ウッズ」氏の不倫報道の際に、彼の口から告白された『セ○○ス依存症(性依存症)』という言葉が話題となったことは記憶に新しいと思います。
タイガー・ウッズ氏は、これが原因で離婚しましたが、パートナーとの関係性にも大きく影響が出てしまうセックス依存症とは一体どのようなものなのか一緒に深掘りしていきましょう!
臨床現場においては、「セ○○ス依存症」という正式な診断名は存在ないのだそう。
仮に病院の診察室で医師が「あなたはセ○○ス依存症ですね」と告げることはあっても、それは正式な診断名ではないとのこと。
セックス依存症、現在の診断名である「強迫的性行動症(Compulsive Sexual Behavior Disorder, CSBD)」は、性欲の強さそのものではなく、性行動に対する制御不能な強迫的な行動パターンに関連しています。
これについて詳しく解説します。
強迫的性行動症(CSBD)とは?
強迫的性行動症とは、過度な性行動や性的思考が個人の日常生活や人間関係に悪影響を及ぼす状態を指します。
この状態は、性欲の強さに直接関連するものではなく、性的な衝動や行動をコントロールする能力の欠如に起因します。
特徴と症状
- 制御不能な性行動:
- 性的な衝動や行動を抑えようとしても抑えられない。
- 性行動が日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、続けてしまう。
- 繰り返しの失敗:
- 性行動を減らそう、または止めようと試みるが、繰り返し失敗する。
- 時間の浪費:
- 性的な行動や空想に過剰な時間を費やし、他の活動や責任を疎かにする。
- ネガティブな影響:
- 性行動の結果、仕事や学業、人間関係、健康などに悪影響が出る。
- 金銭的な問題や法的な問題が生じることもある。
- 情緒的苦痛:
- 性行動に対する強い後悔や羞恥、罪悪感を感じるが、それでも止められない。
強迫的性行動症の原因
- 生物学的要因:
- 脳の報酬系の機能不全や神経伝達物質の異常が関与している可能性があります。
- ドーパミンやセロトニンの異常が、強迫的な行動を引き起こすことがあります。
- 心理的要因:
- 過去のトラウマやストレス、低い自己評価などが関連している場合があります。
- 性的な行動をストレスや感情の逃避手段として使用することがあります。
- 社会的要因:
- 性的な行動に対する社会的な期待やプレッシャー、アクセスのしやすさが影響します。
- ポルノグラフィーの容易な入手が行動のエスカレーションに寄与することがあります。
診断と治療
診断: 強迫的性行動症は精神科医や臨床心理士によって診断されます。診断基準は、反復的な性行動や衝動が少なくとも6ヶ月以上持続し、個人の生活に著しい支障をきたしている場合に設定されます。
治療: 強迫的性行動症の治療には、以下のアプローチが含まれます。
- 認知行動療法(CBT):
- 性的な衝動や行動を引き起こす思考パターンを特定し、それを変えることを目指します。
- 薬物療法:
- 一部のケースでは、抗うつ薬や抗不安薬が使用されることがあります。
- グループセラピー:
- セックス・アディクツ・アノニマス(SAA)などの支援グループで、他の依存症者と経験を共有し、サポートを得ることができます。
- 個別カウンセリング:
- 個別のカウンセリングを通じて、トラウマや感情的な問題に取り組みます。
まとめ
強迫的性行動症(セックス依存症)は、性欲の強さとは関係なく、性的な衝動や行動をコントロールできないことが特徴です。
この状態は、個人の生活や健康、人間関係に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
診断と治療には、専門的な支援が必要であり、認知行動療法や薬物療法、グループセラピーなどの多角的なアプローチが有効です。
早期に専門家の支援を受けることで、症状の改善と生活の質の向上が期待できます。
WHOがセ○○ス依存症を「強迫的性行動症」という精神疾患であると認定
2018年、WHO(世界保健機関)が、セ○○ス依存症を「強迫的性行動症(Compulsive sexual behaviour disorder)」という精神疾患であると認定しました。
強迫的性行動症の診断基準とは?【6つの項目】
- 強烈かつ反復的な性的衝動または渇望の抑制の失敗
- 反復的な性行動が生活の中心となり、他の関心、活動、責任がおろそかになる
- 性行動の反復を減らす努力がたびたび失敗に終わっている
- 望ましくない結果が生じているにもかかわらず、またそこから満足が得られていないにもかかわらず、性行動を継続している
- この状態が、少なくとも6カ月以上の期間にわたって継続している
- 重大な苦悩、および個人、家族、社会、教育、職業、および他の重要な領域での機能に重大な問題が生じている
※わかりやすく言い換えれば、”過剰な” セ○○ス、マスターベー○○ン、AV視聴、性風俗店の利用など、日常生活に大きな支障が出てもその行為をやめられないような場合が『強迫的性行動症』と言えそうです。
セ○○ス依存症と性欲の関連性とは?
実はセ○○ス依存症の本質は「性欲の問題」ではないようなのです。
実際はもっと複雑で、さまざまな複合的要因が絡み合った問題なのです。
長年、依存症問題に関わってきた精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏は「2000人以上のセ○○ス依存症の治療に立ち会ったが、性欲が強すぎてセ○○ス依存症になった人はほとんどいなかった」というのです。
セ○○ス依存症の原因とは?
脳の報酬系と呼ばれる神経回路に機能不全が生じると、「やめたいと思っているのにやめられない」状態に陥ります。
前頭前皮質の活動が弱まっているせいで行動の制御ができなくなるという仮説が、京都大学の研究グループによって発表されました。
この状態は、アルコール依存症や薬物依存症とメカニズムが似ているようなのです。
セ○○ス依存症の問題点とは?
強迫性や衝動性も依存症の大きな特徴で、自分の中で「スイッチ」が入ったら、その行為を達成しない限り落ち着かなくて仕方ないという状態になってしまうようなのです。
そのために、仕事や家庭、世間体や信頼関係を失う「社会的損失」や、性感染症や望まない妊娠などの「身体的損失」、風俗通いがやめられず借金を重ねてしまうような「経済的損失」など様々な損失が待っているのです。
最悪の場合は、レイプなどの性犯罪に手を染めてしまうこともあり得ます。
まとめ
性欲が強いから『セ○○ス依存症』になるわけでは無いことが理解できたと思います。
長年、依存症問題に関わってきた精神保健福祉士・社会福祉士の「斉藤章佳」氏が書き下ろした『セ○○ス依存症』(幻冬舎新書)に詳しく分かりやすく記されています。
『セ○○ス依存症』に興味がある方は一度手に取ってもらうといいと思うわよ。